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ゆいフェス2026 メインイベント開催報告

4 分前
読了時間: 5分

ゆいグローバルネットのつながりの祭典2026 ゆいフェス メインイベント

Generation 9/11 ~境界を繋げるデザイン~

開催報告


一社)ゆいグローバルネット 会長 福永佳津子


今年が911から25年目の節目ということで、ゆいフェスのメインゲストに、犠牲者追悼の慰霊碑(ポストカード)を建立した建築家の曽野正之さんをお招きした。


曽野さんは神戸生まれ。父親の仕事の関係で、少年時代をハドソン川の対岸、ニュージャージー州フォートリーで過ごしている。「僕たちにとって、未来に向かって前進する意思を象徴するシンボルは、年老いたエンパイアステートビルではなく、数年前に建ったばかりの若々しいツインタワー(WTC)でした」。曽野さんにとってWTCは、未来に開かれた象徴的な建物で、仕事でもよく訪れる大好きな場所となっていた。後に設計者がワシントン大学の先輩であるMINORU YAMASAKI と知って、「ゆえに美的感覚に相通じるものがあった」と感じ、一層WTCに惹かれていった。


その後、仰ぎ見たツインタワーは、仕事やミーティングで足繁く通う大好きな場所になっていった。それが理屈に合わない暴力行為で唐突に打ち砕かれてしまった。その場所でたくさんの友人をも失った曽野さんは、怒りと絶望で心の支柱が折れたかのようなショックに苛まれた。神戸出身の曽野さんにとって、阪神淡路大震災に続いて知る二度目の絶望体験でもあった。


美しいものを追い求めていた曽野さんにとって、テロ後のニューヨークの変貌ぶりは堪え難いものだった。銃を携えた兵士が仁王立ちする風景が常態化し、米国はあっけなく戦争突入を宣言。さらなる悲劇を地球上に拡散していく様を見て、曽野氏は、自分が最も大切だと思っていた「美しさ」という価値が、暴力の前にひざまずくしかない非力なもの、と思い知らされたという。そんな時に慰霊碑のコンペを知った。「メチャクチャ美しく、優しく、そして強い慰霊碑を作ろう」。それは犠牲者やご遺族のためであり、同時に、彼自身のためでもあった。


コンペは19ヵ国から200人近い建築家が競い、最終的に曽野さんのポストカードが見事に選ばれた。家族や友人との当たり前の日常をもぎ取られた犠牲者たち。その胸の内を伝える手段として、オフィスの傍らにあった絵はがき(ポストカード)をモチーフにしては?と思いつき、「さよなら」を言えなかった犠牲者の思いを伝えるかのポストカードが、遠くワールドトレードセンターを臨む位置に建てられた。


二枚の羽のように見えるポストカードの内部には、犠牲者の横顔が丁寧に彫られており、視線の先に自分が命を落としたWTCを見据えるデザインとなっている。横顔は、本人はほぼ見ることのないものだが、家族たちには見慣れたよく知るもの。家族や友人たちは、横顔を見て、犠牲者と過ごした記憶を辿ることが出来、また本人を知らない人にもその人のことを想像できるように考えたと曽野さん。建物とアートが一体化した素晴らしい着想力に、胸を打たれた。


さらに感動的なことは、ご遺族と共に亡くなられた方の横顔を作り上げたことだ。そのことがご遺族の癒しにも通じ、彫り上げ、切り取られた残りの石版を、ご遺族に差し上げた話など、曽野さんの犠牲者を、そしてご遺族を思う気持ちの深さに、目が潤んだ。


美しいものを作り続けたい。人と人を繋げて、分断を避けたい。世界平和のために建築が果たせる役割を追求したい…。曽野さんの人間としての優しさが言葉の端々に現れ、ポストカードに込められた彼さん自身の鎮魂の思いを知るに至った。


マンハッタンの入り口に迎え建っていたWTC。見て美しく触れて優しいツインタワーを

見事に建ち上げたのが日本人のMINORU YAMASAKI。それが蛮行で引きずり倒された時、犠牲者を悼む慰霊碑を建立したのも、また優れた若き日本人建築家のMASAYUKI SONOだった。「WTCの歴史を始めたのも優れた日本人建築家。その歴史の幕引きに魂を打ち込んで慰霊碑を建てたのも才能ある日本人建築家…。日本人は本当に素晴らしい…」とNY市民たちは口々に言った。


アメリカは、誰もに公平なチャンスを与え、国籍も人種もキャリアも問わず、名もなき若き曽野さん選んだ。「アメリカの懐の深さと、何にも屈せず、いいものはいい、と選び切ったその姿勢と度量の深さに今でも感謝している」と曽野さんは講演を締めくくった。



イベントタイトル:Generation 9/11 ~境界を繋げるデザイン~

日時:2026年10月10日(土) 10:00~11:00(日本時間)

講師:曽野 正之(その まさゆき)​建築家、Clouds Architecture Office 設立パートナー​

神戸大学及びワシントン大学にて建築修士号取得。2013年ニューヨーク プラット・インスティテュート美術大学建築学部客員教授。アメリカ建築家協会、デンマーク王立芸術アカデミー、東京大学建築学科などにてレクチャー。 アメリカ・中東・アジアにおけるミュージアムやパブリックアートから宇宙建築など多様な建築・美術分野の作品に携わる。ニューヨーク市によるスタテンアイランド9.11メモリアル国際コンペ優勝作品によりアメリカ建築家協会公共建築賞受賞。NASA火星住居設計国際コンペティション優勝やアメリカ建築家協会インテリア名誉賞等。作品はヴェネチアビエンナーレ国際建築展、ニューヨーク近代美術館PS1、スミソニアン航空宇宙博物館等にて展示される。兵庫県出身。少年期をニューヨークにて過ごす。

主催:一社)ゆいグローバルネット



※福永佳津子によるオンライン講演会のお知らせ

タイトル:「911から25年目の秋」~あの日あの時のこと 日本人として思ったこと~

日時:2026年11月5日(木)14:00~15:00 *オンラインMicrosoft Teamsで開催

主催:一社)海外邦人安全協会

 
 
 

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